来る来る廻る
その為、小学校へ行くまでは保育園生活、それから後は、家の鍵を持たされ、他所の家では、母がお帰り、子供がただいま~と言う挨拶、家では反対に使われていた。

寂しい平日の五日も、天国にいるような週末が補ってくれた。

土曜の夕方に現れ、日曜の夜に消えるサンタクロース…この週末家族三人の時間だけが、私にとってはかけがえない時だった。

それが…毎週やって来たサンタクロースが、いつしか怠けだした。

二週間に一度になり、その内、月に一度になり、二ヶ月空いたかと思うと、突然不意にやって来たりと、サンタの仕事は不定期になった。

母が、父の自宅と思える所に、何度も無言電話をかけていた状況を、私は横で見ていた。

その頃か、父は出張先にいるのではなく、もう一つ本当の家があって、そこで暮らしているのだと言う事実を、幼心に悟った。

体はサボりがちになったサンタだったが、現金という贈り物だけは、毎月、きちんと届けられた。

母の通帳に、月末になったら必ず二十万が振り込まれた。

国から頂ける母子手当と、工場の給料もあり、母子二人は、経済的にはかなり裕福であったと思う。


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