来る来る廻る
玉拾いも、私にとっては青春の始まりだった。

キラキラ光る春だったのに…。

でも、私は反抗する事なく、母に従った。

自分の意志を通したところで、母の迎えと言う状況から抜け出せる訳もなく、母に逆らい、人に醜い状況を曝し続けるよりも、私は夢を捨てる道を選んだ。

休日、友達からの映画やショッピングの誘いも、母に話すと、いい顔をしなかった。

父に会えない母の内面の苛立たしさを、私は知っていた。

その上に、友達に私が取られてしまうと言う、間違った錯覚から、母の機嫌が更に悪くなると辛かったので、友達の誘いは全て断った。

母の歪んだ愛は、私の意志を徐々に消していった。

15歳…、私は初めて恋心に芽生えた。

野球部の同じクラスメート、あまり目立たない彼だったが、何となく、優しい目もとが父に似ていて、彼の顔を見るのが、毎日の楽しみとなった。

勇気を奮い起こして、バレンタインにチョコと手紙で告白した。

私には、珍しい意志表示だった。

その日の夜、彼からの電話を母が受けた。
 
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