来る来る廻る


ホスト稼業失業…やっと狸の住みかを見つけた矢先の事だったのに……。

失業保険代わりに、店を辞めてからも、青山ひろみとおかめとは繋がっていた。

が、ホスト遊びをするぐらいの女だ、俺に飽きがきて、また別の男を欲しがった。

その内、連絡も途絶え、自然消滅さ。

稚魚とは何人か続いていたが、只で飲み食い出来るぐらいで、それ以上の金は出なかった。

ファミレス勤めの野田も、この稚魚の一匹だった。

パチンコに負けると呼び出し、飯をおごらせる。

家賃払う金さえもなくなった時、この女に金を借りた。

借りた所で、無職の俺に返す充てはなかった。

また支払日がやってきたので、野田に連絡を取った。

「野田さ~ん!俺さぁ、また死にかけてんだよ、俺ね、野田さんしか頼る人いなくて…」

「またお金?貸した分も、まだ返して貰ってないのに…」

「そこを何とか頼むよ」

「仕方ないわね」

2ヶ月はしのげた。

が、3ヶ月目…俺の甘い声にも、野田は反応しなくなった。

パチンコも負け続きで、他の稚魚は逃げて行った。

家賃どころか、光熱費も携帯代も払えなくなった。


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