来る来る廻る
野田はそう言うと、何食わぬ顔で客を案内しに行った。
ダーリンとは、二人でよく飲みに行ったバーだった。
ちきしょー!
何てこったぁ!
俺をホスト時代から知っている女、野田…ホスト辞めた理由も、金と女に目がない事も、この女は全てを知っている。
俺と出来ていた事も、イーグルにばらすつもりか?
どうしたらいいんだ?
せっかく見つけた金鷲を…ゴールドイーグルを…手放したくはない。
取り敢えず、野田と会おう。
何が言いたいのか、何を望んでいるのか、相手の言い分を聞いてからだ。
その日の帰り、俺はイーグルに言った。
「さっきさ、連れから電話があって、何か俺に、相談したいって言うんだよ…で、話聞いてやらないと思って…今日は付き合えないから、悪いけど真っ直ぐ帰ってくれるかな?」
「わかったわ」
イーグルは疑う様子もなく、あっさりと承諾した。
聞き分けのいい子だよ、全く……。
ダーリンのドアを開け、店内を見渡すと、いた、いた悪魔が…カウンターの一番奥に座っていた。
重い空気の中、悪魔の横に俺は腰を下ろした。