来る来る廻る
緊張…うん?何を話せば、何か話さなくては…この空気は何なんだ?
モナリコお前、微笑んでないで、何か話してこいよ、接客がお前の仕事だろうよ、沈黙作ってどうすんだよ。
静かな空気は…俺をびびらせる。
と、モナリザがやっと口を開いた。
「お客さん、ここへはよく来るんですか?」
「ここは始めてだよ」
「他のキャバクラは?」
「何度か…でもあんまり行ってないよ。俺、そんなに遊び人じゃないから…」
「そうですか…」
もう終わりかよ、会話止まっちゃったじゃないか。
何か話さなくては…。
「君は?この仕事長いの?それとも?」
「私…まだキャバの世界慣れてなくて…ここの店もつい最近からよ」
「旅行資金とか?それともどこかのブランドマニア?」
「ううん…そんなんじゃないの…」
モナリザは悲しそうな笑みで、首を横に振った。
モナリザの謎?
その微笑の後ろに何を隠しているんだ?
それからも…途切れ途切れの差し障りない会話で、俺の謎は解かれる事なく、閉店の時間となってしまった。
早く腰を上げるつもりが、ラストまで…モナリザの微笑みが、俺を引き止めた。