来る来る廻る


この恋の主導権を握っているのは、私じゃなく佐々木でもない…それは…日本銀行券?

もしお金がなかったら…私が蓄え持っていなかったら…この恋はここまで来ていなかったかも知れない。

媚薬の香りも…恋の切なさも…知らないままだったのかも、お金がなかったら……。

私は佐々木が好き…佐々木は…私ではなく金が好き?

そぅ思いたくはない…。

いいえ、そぅに決まってるじゃん! あんたはね、利用されてるだけなのよ!

もう一人の私が、怒りの声をあげる。

そんな人じゃないわ!

もう一人の私が、佐々木を庇う。


私の心中で、世界対戦が始まった。

どちらが軍配上げるか…この戦争に引き分けは許されない。

戦闘開始! 皆、皆開始!

それから2日後の事、佐々木からメールが来た。

「よっ!ひなこ元気か?こっちは、お袋の世話で大変なんだ。今日さ、夕方時間空いたから、麺食いで待ってるよ、じゃ、仕事頑張れよ」

いつもなら直ぐに返信…でも、もう違う。

戦争は始まったの…私はわざと、随分と…返信の時間を遅らせた。

佐々木に不安を与えたかった。

そして…返信…いつもと違う文面で……。


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