来る来る廻る


「私は元気よ!お母さんのお世話、いつもご苦労様ね。今日はね、麺食いじゃなくて、何か美味しい物食べたい気分なの。佐々木君とたまには、お酒も飲みたいし、あのお寿司屋で待っているわ」

震える指で送信した。

この文面って、彼女だったら自然な事、何もおかしい事はない、指なんて震えないよね。

でも…私と佐々木の関係に、この返信メールはありえない。

私がデートコースを、場所を指定した事は一度もなかった。

これは…大袈裟だけど…反抗文面に値する。

私は、恐々返信を待った。

お客のオーダーも間違ってしまうほど、私の神経はメール受信バイブに集中していた。

なかなか返信が来なかった。

不安…私が与えた筈なのに……。

今頃、何を思っているの? 何を考えているの?

 来た~メール受信!

 「じゃ、寿司屋で」

あまりにも短い返信だった。

これって普通なの? 冷たいの? 私は、恋に何の免疫もなかったから、これが初めての交際だから、わからない。

比較する物がなかった。
目隠しされた手探り状態で、この恋の分析をしなくては…先生はどこにもいない。


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