いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
こうやってシュリと一緒にいられればいい。
こうやって歩ければいい。
なんにも話さなくても、この時間を共有できればいい。
それだけで、あたしは『幸せ』のはずでしょ?
長い、長い廊下を右へ左へ渡り終え、螺旋階段を昇り、長い、長い廊下を今度はまっすぐ進む。
見覚えのある壺を発見。
「ほら、ついたぞ」
「あ……ありがとう」
シュリが扉を開けてくれる。
彼の体の脇をすり抜けようとしたその時。
彼がポツリと言った。
「明日おまえを元いた世界に帰す」
なに?
シュリはなんて言った?
あたしをどこに帰すって?
足が止まった。
ゆっくりと振り返る。
ロウソクの明かりはシュリの大きな背中に阻まれていた。
彼の顔は暗闇に覆われている。
その表情を読み取れない。
見えるのは、彼の鋭い瞳だけ。