いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~

こうやってシュリと一緒にいられればいい。

こうやって歩ければいい。

なんにも話さなくても、この時間を共有できればいい。


それだけで、あたしは『幸せ』のはずでしょ?


長い、長い廊下を右へ左へ渡り終え、螺旋階段を昇り、長い、長い廊下を今度はまっすぐ進む。


見覚えのある壺を発見。


「ほら、ついたぞ」

「あ……ありがとう」


シュリが扉を開けてくれる。

彼の体の脇をすり抜けようとしたその時。

彼がポツリと言った。


「明日おまえを元いた世界に帰す」


なに?

シュリはなんて言った?

あたしをどこに帰すって?


足が止まった。
ゆっくりと振り返る。


ロウソクの明かりはシュリの大きな背中に阻まれていた。

彼の顔は暗闇に覆われている。
その表情を読み取れない。

見えるのは、彼の鋭い瞳だけ。
< 162 / 274 >

この作品をシェア

pagetop