いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
目をつむってみる。
空耳じゃない。
本当に小さいけど、でもはっきりと聞こえる。
その笛の音に導かれるように。
まるで足に糸でも巻きついて引っ張られてるみたいに、勝手に進んでいく。
笛の音が徐々に大きくなっていく。
繊細で、たおやかで。
でも、なんだか妙に切ない旋律。
たどりついた場所は、砂漠の中のオアシスのような大庭園。
コンコンと清水があふれだす噴水。
その淵に腰かけた長い銀色の髪の超絶美形。
物憂げな表情をたたえて、笛に口をつけていた。
軽やかに指が笛の上を滑っていた。
闇夜へと、音は吸い込まれていく。
そのお姿は、一般女子を瞬殺するほど妖艶で、あたしはその場から一歩も動けなくなった。
瞬間、彼の笛の音が止まった。
灰色から銀色へと姿を変えた瞳があたしをとらえていた。
一拍の後。
彼はふんわりとしたほほ笑みを、口の端にのせた。