いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「どうなさいました? こんな夜更けに護衛も伴わず」

言いながら、カレンはすっと立ち上がった。

闇夜に溶け込んでしまうような濃紺のビロードの上着を脱ぐと、薄い夜着姿のあたしの体を包み込んだ。


「女性が体を冷やしてはなりませんよ」


ニッコリ。

満面の笑顔をカレンはあたしに向けた。


この人はいつだって、あたしには笑顔を向けてくれる。

特別に優しくしてくれる。


シュリは?
シュリはどう?

シュリはあたしに笑顔をくれた?
特別に優しくしてくれた?

シュリは。
シュリの優しさは。

女王騎士としての義務……だった?


「姫様?」


ぽとり、ぽとり。

無意識に、涙がこぼれた。

グッと唇を噛みしめたけど、もう遅くって。

それは次から次にこぼれて止まらなかった。

カレンはそんなあたしの涙をひとつ、ひとつ丁寧にすくっていく。
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