いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「泣きたいときは、我慢なさらなくてもいいのですよ」
甘やかな髪の香りが、あたしの鼻先をさらって。
あたしは大きな胸の中に押し込められるように、ギュッと強く抱きしめられた。
一定に刻む胸の鼓動が心地よく耳に響く。
「落ち着きましたか?」
涙が止まるまでの間、カレンは黙って抱きしめていてくれた。
強い腕から解放されても、あたしは預けた体をすぐに放すことができなった。
本当はシュリじゃなくちゃダメなのに。
どうしてこうも簡単に他の人の胸の中にいるんだろう?
あたしはズルイかもしれない。
シュリが好きなんて言いながら。
土壇場で、優しくしてくれる人の腕にくるまれて、簡単に逃げ込む場所を手に入れちゃおうとするんだから。
こんなあたし。
シュリに愛想尽かされるのは仕方のないことかもしれない。