いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
クスクスと笑いあう二人に割り込むように、少年が血相を変えながら走ってきた。
その姿に二人は笑うのをやめ振り返った。
赤い髪を乱し、飛び跳ねるようにやってくる少年。
彼は二人に懸命に叫んだ。
「シュリさんが! シュリさんがカレンさんの結界を破って、姫様を。姫様を追って一人で魔族の国に!」
そんな少年の言葉に、二人は見合って苦い笑みをこぼしあった。
「言ってる傍から、あわただしいな。ちゃんとケツは持てよ。おまえの大事な息子なんだから」
「ええ。もちろん」
「はじめからそのつもりでしたよ、私はね」
言いあった二人の顔からはすでに笑みは消え、厳しく鋭い瞳だけが空の彼方を見据えていたのだった。