いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「気に入ってもらえるといいんだけどな」
いつの間にか、先輩はあたしの後ろにいた。
もちろん、唇にはなんの感触もない。
そのかわり、首元に何かひやりとした感触があった。
ゆっくり指先で触れてみる。
雫の形をした真っ赤なルビーのような宝石が輝いたネックレスが、あたしの首にかけられていた。
「誕生石ってわけじゃないけど、僕の好きな宝石を……と思って。ダメかな?」
「だだだだだだめですよ! いや、その……こんな高価なもの」
「大丈夫。心配するほど高いものじゃないよ」
「そそそそそそういうことじゃなくて……」
あたし、先輩といられるだけでラッキーなんです。
これ以上ラッキー続いたら、あたしの人生のラッキーを全部使っちゃいそうで。
ううん。
そもそも、あたし今日死ぬんだからいいのかな。
って、痛いのはいやぁぁぁぁ!!
「じゃ、もらって。そのかわり、僕のお願いを一つだけ聞いてくれる?」
「ははははははははい!! なんでも!!」
強くうなづく。
先輩は右の小指をあたしに差し出した。
「指きり……約束だよ!」
あたしはそこに自分の小指をかけた。
にっこりと。
悪魔のように美しい笑顔に胸がとけちゃいそう。
けど、一気に冷める。
「うさちゃん!!!!!」
トートバックから顔を出し、ニンジンにかぶりつくように――
うさちゃんは先輩の手に思いっきりカップリ噛みついている。
あの天使のような顔が、ものすごくワルになってる。
「こここここコラ!! 離れなさいって!!」