いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「だーいじょーぶ。痛いことはなーんにもしないから。
それよりも、キミは自分の運の良さを感謝したほうがいい。なんせ、この国随一の美男子であるこのボクと『キス』ができるんだからねぇ」
「キキキキキキスゥゥゥゥッ――!」
「そう、キミの『ファーストキス』の相手が『王』になる。これ、キミの国の常識」
どんな常識だよ!
っていう心のツッコミは届くわけない。
にやりといやらしく先輩が笑う。
その瞬間、先輩の顔が奇妙に歪み始めた。
鼻の辺りの肉が盛り上がり、目がギョロリと盛り上がる。
「ひぇぇぇっ!」
美しかった先輩のお顔がリアルな牛顔に大変身。
しかもしっかり鼻輪付。
「結婚式が楽しみだねぇ、ハニーちゃん?」
荒い鼻息を立てて迫ってくる牛顔。
ああ、もうダメ。
あたし限界!
めまいが頂点にまで達して。
あたしの視界がプッツリ途絶える。
あとはただ。
ただ、どこまでも続く漆黒の闇の中へとまっしぐら――