いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
急いで指切りをほどき、がっつりかぶりついているうさちゃんを引き離そうと試みる。
けど、一瞬早く、うさちゃんは喫茶店出口へと猛ダッシュ!!
「ちょちょちょちょちょっと!! 待って!! 戻りなさいってば!!」
「君のうさぎ?」
手をさすりながら先輩は聞いた。
「あたしのっていうか、そうじゃないっていうか……」
「君はそこで待ってて。絶対にここを動かないで」
驚くほど低く冷たい声で先輩は命じた。
そう、言ったんじゃない。
命じたの。
騒然とする喫茶店。
ウサギを追って出ていく先輩の後ろ姿を茫然と見送る。
身が凍りそうになった。
怖くて。
先輩が怖くて仕方なくなっていた。
足ががたがたと震え、あたしはその場に座り込んだ。
どうしてこんなことになっちゃったんだろう。
先輩が怒るのは当然だよ。
あたし、嫌われちゃったの?
「立て、ユナ」
不意に投げられた声にあたしは顔をあげた。
耳をついた懐かしい低音。
その声に、あたしの中の怖いっていう気持ちが消えてなくなった。
この声を知っている。
この声の人を知っている。
そう、この声は。