いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「行くぞ、ユナ」
差し伸べられる大きな手。
見上げたその先にあった顔。
それは夢の『運命の王子様』。
その人だった。
長い黒髪。
切れ長の黒曜石の瞳。
筋の通った高い鼻。
きりっとしまった形のいい唇。
あたしの手を取るその熱い温度。
これは夢じゃない!!
「急ぐぞ」
店の中を突っ切って、開け放たれた扉の外へと走っていく。
ガラス張りの向こうから、こちらに向かって走ってくる先輩の姿が目に飛び込んだ。
「ユナくん!!!!」
先輩の声が聞こえたのが最後。
あたしの足は喫茶店の扉の向こうへ……
「って、ここどこ???」
開いていたのは扉?
ううん。
開いているのはあたしのお口。
「砂漠って?」
一面に広がる黄金砂漠。
広大な砂漠世界があたしの目の前に広がっている。
振り返るあたしの目にさらなる追い打ちがかけられる。
ない! ない!! ない!!!
先輩と過ごした動物園も、あの喫茶店もそこから消え失せて……
卒倒。