いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
あたしの指、ちょっと震えてる。

しっかりしろ、ユナ!


目の前の男の手が伸びて、顔にかかるベールを後ろへと引き上げる。

あらわになったあたしの唇に。
男の偽物の形のいい唇が近づいてくる。


顔が引きつる。
唇が避けたがって、ヒクヒクしだす。

だって、今はこんな男前だけど、一枚剝がれたら、ただの牛面男なんだから!

バレるな!
もう少し!
頑張れ、あたし!!


「敵襲!
敵襲っっっ!!」


飛び込んできた声に。
唇まで数ミリのところで動きが止まった。

馬のいななきが聞こえる。
その音がしたほうに目を向けると、五頭の黒馬がこちらに走ってくるのが見えた。


ドキン。ドキン。


胸が大きく鼓動する。


あたしは目をつむり、祈るように胸の前で手を組んだ。


(どうか。
どうか、そこに彼の姿がありますように――)



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