いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~

「でも、笑っちゃうよねぇ。テープまで貼って死守したキスが本当は初めてじゃなかったなんてさ。シュラが知ったら、また悔しがるだろうね」


そうなのだ。

あたし自身ですら忘れていたことだから、魔族王子が知るはずもなかったんだけど。


実はあたしのファーストキスはすでに奪われていた後だった。

正確には奪われていたんじゃなくって、捧げてたというべきなんだけど。


あたしね。

むかーし、むかし。

ほんとに超小さかった頃。

たぶん、幼稚園とか、それくらいちっちゃい頃だと思うんだけど。


いっつもいっつも泣いているコウモリの羽をした『おにいちゃん』を元気づけたくて。


『キスのおまじない』をしたんだよね。


実はその『おまじない』ってのが、『女王となる者』だけが持つ『特別の儀式』ってやつで。


『生涯を共にする相手を決定する契約の儀式』で。
『獣人の王となる者を決定する契約の儀式』だったわけで。


でも、小さいあたしはそんなこと、ぜんぜん理解してなくて。


ただ、この『おにいちゃん』の傍に、ずっといてあげたい。
元気になれる日まで、一緒にいてあげたいって思って。


キスしちゃってたんだよね。


「オレはあのときからずっとおまえだけを見てきた。忘れられてるとは……正直、思わなかった。だが、テープ一枚でも他の男とのキスは、やっぱりいいもんじゃない」


そりゃ、あたしだって同じだって。
シュリ以外、イヤに決まってる!


「小さかったし。でも、記憶ないながらもシュリのことは覚えてたんだからね!」
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