いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「ここどこなの!? あなたがあたしをさらったんでしょ!?

目的はなに?

身代金?

それとも、あたしをどこかに売ろうって言うの!?」


「身代金? 売る? 誰が? 誰を??」

「あなたが! あたしを! に、決まってんでしょ!!!」


彼は顔を曇らせた。

それから、額に手を当てると、大袈裟なくらい大きなため息をついた。


「どうしたらそんな考えになるんだ……」

「じゃ、どうしてこんなとこにあたしいるの?夢じゃないっていうんなら、帰してよ!」

「落ち着け……頼むから、落ち着いてくれ」


彼はそう言うと、あたしのいるベッドの脇にある小さな椅子に腰をおろした。


「ここは草原の国、グラシュビッツランド。オレはシュリ。この国の騎士団の一人だ」

「グラシュビッツ?」


『グラスランド』=『草原の国』のほうが、はるかにわかりやすいのに。

なぜにシュビッツ?

英語圏じゃないってこと?


でも、草原の国って言うわりに、草なんて見た覚えがないような……


「昔は緑の王国だった。今はほとんどが砂に埋まってしまった。そのために、この国は今危機に直面している」

「危機? この国、なくなっちゃうってこと?」

「それはおまえ次第だ」

「は?」

この展開なに?

わけのわからん国の存亡に、あたしが関わってるって言うの?

っていうか、この人、頭おかしいんじゃないの?

違うな。

あたしがおかしいのか。


確かにね、おかしいよ。

変な夢見るし。

普段の妄想がここへきて、大爆発ってかんじだな。
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