いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「勘違いするな」
抑揚のない聞きなれた低音が飛んでくる。
声の主を見ると、また額に手を当てている。
そして、大きなため息。

なんなのよ!
その態度はなんなのよ!!
なんか、バカにしてるってかんじ!!
やぁなやつぅ!!!!

あいつ、本当に夢の『運命の王子様』なのかなぁ??

そのとき、ちょんちょんと、何かがあたしの手をつついた。
ふと、膝に置かれた自分の手を見る。

赤茶色の毛玉がいる。
それはもちゃもちゃと口を動かしながら、こちらを見上げていた。

「あんた!! うさちゃん!! っていうか、どうしてこんなとこにいるの!?
先輩は??
ちがうか!? あんたもさらわれてきちゃったの???」

抱っこしようとするあたしの手をすり抜けて、彼は床にトンっと飛び降りた。
そして、一呼吸の後、ギュッと体に力を入れた。

体が奇妙に歪む。
それは徐々に人の姿に変わり……

完成したのは、黒のシャープなおパンツ姿の赤茶髪の美少年だった。

これはなに?
これは『ヒキタテンコー』も真っ青なイリュージョン??
ウサギが美少年に大変身???

なんでおパンツ一枚でいるの!!??

「大丈夫ですか、姫様?」
「大丈夫じゃない!! けど、早くなんか着てぇ!!!!」

美少年から目をそらし、両手をばたつかせる。

男子に対して免疫がないあたしに、これは刺激が強すぎる。
NASAのカウントダウンが遠くから聞こえてくる。

美少年ユーリは床に脱ぎ捨てられた服をいそいそと着込む。
それから、あたしに向き合うと深々と頭を下げた。

「お目汚し、申し訳ございません。
ボクはユーリと申します。
驚かせてしまいましたが、これも女王騎士団の立派な任務でしたので」

めまいがする。
あっちが天井よね?
じゃ、こっちは地面??
どっちがどっちだかわからなくなりそう……

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