いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
まわりを見回す。
壁には獅子や、他の動物たち。
幾何学模様といった抽象的、象徴的な浮彫装飾がいたるところになされている。
たぶん、これはこの国の歴史とか宗教とか。
そういったものなんだろう。
でも、不思議なことに一つも人像の表現がない。
獣人らしいもの、何一つないじゃん。
ただ一つわかること。
それは『獅子王ラエル』がこの国で絶大な力を及ぼしているってこと。
「獅子王ラエルって……とっても偉大な人だったんだろうね」
「そりゃそうですよ」
とフランは即答した。
「この国の『創始者』ですから。というより、オレたち獣人が絶滅しなかったのは、この方がいらしたから。って、習いましたけどねぇ」
「でも、そんなに偉大な人なのに、なんで一つもその人の彫像とか、絵画がないの?
全部象徴的にしか表わされてないよね?」
「姫さまって。思ったより鋭いですねぇ」
「それ、けなしてる?」
「いいえぇ、褒め言葉に決まってるじゃないですかぁ♪」
「なら、いいけど」
取り繕うようにフランは笑う。