いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
カップからふんわりと優しい匂いがした。
中をのぞくと、白い花びらが一枚浮かんでいた。
薄茶色の飲み物をたたえたカップは、ほんのりと人肌程度に温かい。
一口、そっと飲んでみる。
口の中に甘味が広がって、気持ちがほんわりとした。
「これ……飲んだ事ない味だけど。すっごく気分いい!?」
「よかったです♪ ボクの里に伝わる秘伝のお茶なんです。病み上がりとか、訓練疲れとかに飲むと、すごく楽になるんですよ」
「へぇ、そうなんだ。じゃぁ、試験勉強のお供にはうってつけだね。って、それだから持って来てくれたの?」
「……ボクっていうよりはシュリさんかなぁ?」
「シュリ?」
「これ、作って持って行ってって、シュリさんに頼まれたんです」
「シュリが? なんか……意外。シュリってそんなに気の回るタイプに見えないから」
あの晩のシュリがウソみたいに、普段のシュリは愛想がない。
っていうか、すごくやなかんじ。
笑わないし。
言い方もきついし。
優しさのかけらもないってかんじなのに、そのシュリが、あたしのためにユーリくんに頼んだの?
「姫様はシュリさんにとって特別ですから」
「ああ、お姫様だからね」
「それもそうですけど……でも、違いますよ」
「なんか、意味わかんないんだけど」
あたしがシュリにとって特別?
それってあたしがこの国の『希望の星』で『救世主』だからで。
ほかにどんな理由があるって言うの?