いとしのネコミミ騎士(ナイト)さま!! ~イケメン騎士軍団と砂の国~
「人も、物もないんだね」
あたしのつぶやきにユーリくんは「これが現状です」と答えた。
「まだ病に侵されていない人の大半は、友好関係にある別の国に難民として受け入れてもらっているんですよ。でも、どうしてもこの国に残りたいっていう人については、城の施設を開放しているのですけど、やっぱり住み慣れた場所にとどまりたい人が多くて……」
「大丈夫なの、その人たち?」
「駐留している魔族に襲われる報告が後を絶たないので、どうにか保護したいんですけど。いろいろ問題もあって。ボクらも配給や見回りもしているんですけど。追いついてないです」
「そうなんだ」
あたしが考えているよりも、ずっとヤバい状況なんだ。
「姫さまぁ、申し訳ないんですけど。こっからは口元、首のスカーフで隠してもらえますぅ?」
「なんで?」
「ここから先は病人の多くが住む居住区になるんです」
言いながら、二人は首に巻いていたスカーフを口元まで引き上げた。
あたしも急いでそれに続く。
大通りから小道に入る。
さっきまでは姿を見せなかった人がそこ、ここに倒れこんでいた。
老人も、子供もいた。
見る人、見る人の頭や顔、腕や足のどこかに包帯をしていた。