お前は絶対俺のもの


―――――――――……

その日の放課後。


私は誰もいなくなった後の教室を覗いた。


その空っぽな教室には人影がひとつ。


それは沖田陸のものだった。


沖田陸は教室の窓から一点をじっと見つめている。

その先にはとくに特定の人物がいるわけではなかったが、

そのときの沖田陸の顔がなんだか気になった。


すこしだけ悲しみの色がまじった切ない顔をして、


どこかを眺めていた。


普段はみないあの表情。

沖田陸に用事があったが今回はやめておこうと、後ずさったとき……



「風香?」


去るよりも先に沖田陸に発見されてしまった。
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