悲しみと魔法と、そして明日と
「・・・いったいなんだったんだ?」

ナツ以下警備隊員は呆けた表情のまま、ツバキコたちが去っていった扉(と瀕死のオヤジ)を見ていた。

「あのコたちかなりデキるね。はっきり言って、あのアユっていうコはお前らより遥かに魔力高いよ」

リクがニヤニヤしながらショウとユウリに話しかけた。

「うっせ。でもいいのかユウリ?仲良くなっとけばそのうち・・・」

「まぁあの人達も旅してるみたいだし、また会えるでしょう。ちなみにリク的に他の子はどうでした?」

「スズってコの体術はかなりのものだね。ツバキコは・・・バネはありそうだけど・・・よくわからんな。だがデキるのは確かだ」

リクは真面目な顔つきで答えた。するとユウリは首を左右に振った。

「そんなこと聞きたいんじゃないんですよ。好みは誰?って聞いてるんですよ。あ、ちなみにアユは私がキープです」

「俺はツバキコ!理由はノリが良さそうなとこです!」

「ちょっと待て!あとスズしか残ってないじゃん!それに僕は年上好きだぁ!!」

目の前の青年達が女の子達の気持ちを完全に無視した形で誰が誰を好きだと騒ぎ出したのに気づき、扉から目線を外して彼等の会話を断ち切った。

「君達は協力してくれるのか?報酬は一人5万だぞ?」

「あ、もちろん良いですよ。私達は今日の食い扶ちにすら困ってますしね。それに困ってる人を見捨てられないタチですしね」

ユウリと呼ばれた青年が答えたが、他の二人はまだ前の件で騒いでいる。この青年達の手を借りても本当に大丈夫なのだろうかと思った時に後ろから聞き馴れた怒声が聞こえた。
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