悲しみと魔法と、そして明日と
「ふざけるな!!こんな餓鬼共をユリお嬢様の救出作戦に参加させるわけにはいかん!!我々警備隊だけで十分だ!!」

重力に逆らい立てた髭が特徴の中年の警備隊員が叫んだ。風貌から他の隊員とは別格のようだ。

「ガルフ隊長、落ち着きなさい。ご協力下さる方々に失礼です」

ナツはガルフを制した。

「いえお嬢様それは聞けません。さっさと出て行け!貴様等に頼らなくても私がユリお嬢様を救出してみせる!!」

ガルフはずいと前に出て、出口の扉を指差した。

「その戦い慣れしていない警備隊員たちでどう50人もの盗賊と戦うのです?爆弾でも持って特攻でもしますか?」

ユウリが挑戦的に答えた。もちろん三人は椅子から立とうとしない。

「貴様等のような者達が協力するよりはマシだ!!」

頭に血が昇っているのか既に作戦が失敗しているような言い方だ。ナツは眉をひそめた。

ナツは昔からガルフが好きでなかった。自分が幼い頃は昔に地方を統治していた父と自分に媚び、父が病気で急死してしまった時は散々私を邪魔者扱いしたが、西四役に私が抜擢された時は掌を反したように媚びてきた。私は信用していないが、一部の街人や、他の警備隊員には彼を慕う人間が多く、剣の実力もある。

・・・何も信用出来ない。国も人間も。私にはユリだけ。

お願い。無事でいて・・・。
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