悲しみと魔法と、そして明日と
「・・・さて、私達の力量を解って頂けましたか?ナツ嬢、作戦をご説明下さい。私達はご姉妹の救出に全力を尽くします」

ユウリは落ち着きを払いながらナツに言った。一方、完璧にまで虚仮にガルフの顔は真っ赤に茹で上がっていた。釣り上がった鋭い眼光は見たものを殺してしまいそうな勢いである。

「力があったとしても私には貴様等を信用することは出来ん!!第一そのような力を持ちながら少ない報奨金目当てで協力するなど、疑わしいのも甚だしいわ!!明日の作戦の準備があるため私は失礼する!!いくぞ!」

ガルフは身体を部屋の外へと翻しながら警備隊員達を促した。

バタンッ

数人の足音がバタバタと遠くへ行くのを聞きながらナツとショウ達4人になった部屋でナツの溜息のみが聞こえた。

「申し訳ない、私の私設隊の隊長が無礼をした。・・・しかし私にも解せない。なぜ私に手を貸してくれる?」

ナツが頭を下げながら聞いた。さすがのナツも半信半疑を隠し切れない様である。それもそうだ。ガルフの言った事は的を射ている。

「・・・本当に困っている人を助けたい。っていうのは信用ならないか?」

ショウがナツを真っ直ぐ見ながら言った。そのあと誰も言葉を発しない。3人はナツを真剣な眼差しで見つめている。遠くのほうで龍が啼く声が聞こえた。

「めずらしい・・・飛龍の親子だね。ナツさんは知ってます?飛龍の親は子が成長したらこの世の森羅万象を教え、光になり、子の一部となり、子の目でまた長い一生を生きるそうです」

「その子は親から受け継いだ霊験あらたかな魔力と知識をまた自分の子へと受け継がす為に生き、世界を見つめ、時には暴れ、時には治め、時には大地となり、人々に恵みをもたらすそうです」

リクは外に広がる青空を見つめ、語った。

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