やくざな主人と生意気ペット
「あ、お前それズルいよ」
「神無月さんがトロいからですよ。ほらほら」
「ちょ、タイムタイム」
結局相手してもらったはいいけどさ、神無月さん天才的に……、
「弱ッ」
「あ?何か言ったか…てお前やめっ」
はい、これで十二連勝。
つまり神無月さん十二連敗。
あ、またコンティニュー押したよこの人。
「まだやるんすか?」
「うるせーよ」
「一回だけなって言ってませんでした?」
「知らねーよ」
「神無月さんってガキっぽいですよね、やくざなのに」
「黙れ」
ほんとガキだねー。
ちゃんとやくざの仕事出来てんのかな。
不安になってくるわ、ここまできたら。
でも………あまりにも弱い。弱すぎる。
「神無月さん、ガードって使ってます?」
「は?」
あ、やっぱり知らなかったんだ。
「あのですね、大体こんな格闘ゲームには相手の攻撃をガードするコマンドがあるんですよ」
「お前詳しいな」
「そりゃ何年も家に引きこもってたらゲーマーにもなりますよ。てかこれ全ゲームの基本ですよ?」
神無月さんがやくざやってるせいですよ。
普通なら高校行ってクラスに好きな子ができちゃったりしてさ、んで付き合っちゃってさ。
そんな生活送りたかったよ。