やくざな主人と生意気ペット
「…こはる」
「え?あ、はい?」
久々に名前で呼ばれたから焦った。てかびびった。
「お前さ、俺が家にいない間何やってんの?」
「何って…ちゃんと家事はしてますよ!」
「いや、そうじゃなくて」
いつの間にかゲーム機の電源は切れていた。
「今更聞くのも遅すぎるんだけどさ、俺、お前を家に閉じ込めてるようなもんでしょ?」
「まあそうですよね」
そりゃやくざの同居人が街中ウロウロしちゃいけないしね。
それぐらいわかるってば。
「嫌じゃないの?」
「嫌に決まってますよ」
何を今更。
「まあ慣れましたから。神無月さんがお休みの日は時々どっか連れてってもらってますし」
その時々が意外と楽しかったりするしね、うん。
「まあ寂しいっちゃ寂しいんですよ?夕方に洗濯物畳んでる時とか泣けてきますもん。あたし何やってんだろ、って」
思い出したら泣きそうになってきた。
でもあたしの頭に神無月さんの手が乗っかって、ギリギリの所でせき止められた。
「ごめんね」
髪の毛がくしゃくしゃになるくらい撫でられる。