やくざな主人と生意気ペット
「ごめんねって、それでも神無月さんやくざですか」
あまりにもヘタレすぎて笑えてきた。
ごめんねってどうよ。
「俺やくざしか出来ないからさ、何か、悪いなって。でもやくざやってねぇとこはるに楽な生活させてやれねぇし」
「母を想う息子かよ」
ヘタレやくざは威厳ゼロだね、こりゃ。
ツッコんでみたけど、まあちょっとは嬉しかったり。
「ごめん」
「いいですってば」
ほんと大丈夫ですって。
らしくないですって、マジで。
ほんと気持ちだけで十分ですから。
「なあ」
「はい?」
「やっぱりこの後は後ろから抱き締めるとかゆうイベントがあるわけ?」
「はい!?」
え?何を仰っているの、神無月さん?
「あったじゃん、そんな恋愛シミュレーションゲーム」
神無月め。
あたしが隠れてやってんの見たな。
お前が悪いんだからな。
バーチャルでぐらい恋愛させろや過保護やくざめ。
「拗ねる主人公をイケメンが頭撫でて宥めるけどまだ拗ねてて最終的に後ろから抱き締めたら仲直りみたいな…」
「神無月うざい」
早く仕事に行っちまえ。
ちょっとでも感動したあたしがアホだった。