やくざな主人と生意気ペット
いつだったか、あたしは神無月さんの事を色々調べたことがあった。
神無月さんが留守の時に部屋に忍び込む。
初めて入った神無月の部屋にはベッドと机ぐらいしか無かった。
つまんねぇ奴だな。
散乱している書類をパラパラ捲る。
"機密文書"なんて書かれてたら余計に見たくなるじゃん。
『プライバシーの侵害は良くないな』
予想もしていないことに、慌てて振り向くと神無月さんがいた。
凄まじい威圧感に気圧され、怯む。
『すっ…すみません、神無月さん…』
素直に服従したほうがいい。
そんな感じがした。
『でもあたし、何も知らないままなんて辛いです!
少しでいいから…教えて下さい、神無月さんの事』
何も知らない恐怖から解放して欲しかった。
知ってどうにかなる訳でもないのに。
『神無月さんは、何をされているんですか?』
夜に出て行って朝早く戻ってくる。
普通のサラリーマンじゃないことくらいわかってた。
『殺し屋、かな』
その日から一週間、あたしは部屋に閉じ込められた。
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