やくざな主人と生意気ペット


「ちょ、アスカさんっ!」

アスカと呼ばれた女の人を神無月さんが引き離して、やっとあたしは解放された。


でも待ってよ、あたしのファーストキスの相手が女って何ですか、ギャグですか。


「なによー、挨拶しただけじゃない」


いやいやいやいや、此処ジャポン。
てか外国でもマウス・トゥー・マウスはアウトだろーよ、アスカ姉さん。


「どーせファーストキスはもう奪ってんでしょ、神無月?」

「はあ!?そうなんすか!?」

「悪ぃかよ」

「有り得ねー!きめぇー!ってかやっぱ変態かよー!ロリコン野郎!」

「お前からしてきたくせによく言うな」

「はあ!?何言ってんすか…」


一瞬、嫌な記憶が蘇った。



『ねぇ、カンナヅキさん。
こはる、おっきくなったら、ぜぇったいカンナヅキさんのおよめさんになるっ』

『こはるは俺の事好きなんだ?』

『だーいすきっ!
だから、ちゅうしたげるっ』




「思い出した?」

にやにや笑う神無月。

きめぇ…神無月も自分も。


「顔真っ赤じゃない、こはるチャン」

「…今はそっとしておいて下さい」


今はそれだけしか言えない。




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