加納欄の出会い シリーズ2
大山さんは、ズカズカ入って行くと、カウンターに座りマスターに向かって。
「俺コーヒー。こいつ新入りのチビ。いつもの紅茶入れてやって。それと、こいつ探してるんだけど」
そう言って、1枚の写真を胸ポケットから取り出した。
マスターは、写真をチラッと見ると無言で、あたしの顔を見て紅茶を作り始めた。

そして、大山さんには、コーヒーを差し出した。
「登に似てんな」
「登?」
大山さんは、写真を胸ポケットにしまいながら聞き返した。
「あぁ、最近はみかけねぇが、登だ」
「行く場所は?」
「館山組とつるんでるってのは、聞いたことあったな」
そういうと、マスターは蒸らし終わった紅茶をカップにつぎ、あたしに差し出した。
「ありがとうございます」
あたしはお礼を言うと、勝手に注文された紅茶を一口飲んだ。

ニガァ~(>_<)

何でだぁ(:_;)

「体調いいと苦く感じるんだ。体調悪い時に飲むとうまいぞ」
マスターは笑いながら話してくれた。

普通の下さい(>_<)

「大山さん、いつから子守りするようになったんだい」
あたしをチラッと見て、マスターがまた言った。
「今日からだよ」
「犯罪じゃないんですか」
とマスターは、笑った。
確かにあたしは童顔だった。
通常の年齢にも見られないし、身長も低い。

大きなお世話だ(>_<)

「サンキュ。ここに置いとく」
大山さんは、1万円札をカウンターに置くと喫茶店を出て行った。
あたしも慌てて追いかけようとして、マスターに呼び止められた。

「苦い表情はできるのに、笑わないんだな。愛想笑いくらいしたほうが世の中渡りやすいんじゃないか?いらぬお節介だろうけどな」

笑う?

面白くないのに、なぜ笑わないといけないの?

あたしは、無言のまま喫茶店を出て、車に乗り込んだ。
車を発信させると。
「初めて連れて行く時は、だいたいあの紅茶入れてもらうんだ」
と、大山さんは話してくれた。

ふぅ~ん(-.-)悪趣味。

あたしは、無言だった。
また、車の中は無言の状態が続いた。
大山さんが、突然アクセルを踏みスピードをあげた。


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