「私、先生の事が大好きです…」

気が付いた時には…


 先生の事が気になりだしたのは、いつもと変わらない放課後の事だった。
 私は週に一度、学校の隣の図書館に通っていた。
 
 あの日も、私は図書館へとお目当ての本を探しに行っていた。

 「あれー。まぁたないよ~」

 友達には、文学少女っぽいと笑われるんだけど、前にたまたま読んだゲーテの詩集に感動して、ゲーテの詩のファンになった私は、図書館に通っては、詩集を読んでたりする。
 けどここ最近、『ゲーテ詩集6』だけが、いつ来ても貸し出し中らしく、置いてないんだよね。
 
 「ったく、しょーがないなー…」

 しかたないので、詩集の7を手に取って読むことにした。
 読み耽ってしばらくした時、本から顔を上げたその時だった。

 「ああああああああ!!ゲーテ詩集6!!」

 図書館ということも忘れ、立ち上がって思わず声をあげる。
 丁度視線の先に映ったのは、探しまくっていた『ゲーテ詩集6』の背表紙。
 しかし、ここは図書館。思いっきり周りの冷ややかな目線を受け、私は「すいません」とペコペコ平謝りをする。
< 2 / 39 >

この作品をシェア

pagetop