「私、先生の事が大好きです…」
 「あ、あの、先生」
 「ん?」
 「今、沙ゆ…部長からメールが来まして」
 「あぁ」
 「他の作業が忙しくてこっちに来れないらしいです」
 「おぉそうか」

 もくもくと作業を続けたまま先生はうなずく。

 「あの…先生」
 「ん?」
 「え、えっと…」

 私は口を開いたものの、なにを言うべきなのかわからず口ごもってしまう。

 「どうかしたのか?」
 「いや…その…」

 私ってば、おかしい。
 こんなにおどおどした性格じゃあなかったハズだ。
 言いたいことは言わないと気がすまない、そんなタイプだったはず…なのに。
 恐くて、言えない。
 恐くて、聞けない。

 初めから叶わない想いを、言い出すなんて…できない。
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