「私、先生の事が大好きです…」
「さ、榊君…今なん…て」

たっぷり沈黙した後、ようやく出たのがそんな言葉。
我ながら間抜けな声に、間抜けな台詞。

「俺、前から先輩のことが好きだったんです」
「ま、前から?」
「はい。一目ボレ、って言うか…よく、部長と一緒にいたから、てっきりこの部だと思って」

榊君は笑いながら、私目当てで入部したのにいなくてがっかりしたこと、私が入部してきて嬉しかったことを告げた。
先生の鈍感さにしびれを切らしかけていた私自身、とんだ鈍感だったみたい。
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