「私、先生の事が大好きです…」
 「ゲーテ?…あ、これか」
 「そうです!それ、もしかして、ずっと先生が借りてるんですか?」
 「んー…1ヶ月くらいかな」
 「え!1ヶ月?!」
 「ちょっと、借りすぎかな…あはは」
 
 言って笑う先生。確かに、私が探し始めてからそれくらい経つかもしれない。
 それにしても、借りすぎなような…

 「って…もしかして、君がゲーテの女の子?」
 「え?」
 「いやね、司書の方が先生みたいにゲーテばっかり借りてくうちの学校の女の子がいるって教えてくれて」
 「そうなんですか?あ…あの眼鏡のおばさんですか?」
 「そうそう、一見恐そうなんだけど…」
 
 『案外やさしい』んだよー」
          んですよねー」

 二人の声がハモる。
 顔を見合わせて、先生と私は笑った。
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