「私、先生の事が大好きです…」
 「ん?なんだ?」
 「え…あ、えっと…あの、あ、せ、先生って、星、好きなんですよね?」
 「ん…、あぁ、そうだけど」

 私ってば、何を言おうとしてるんだろう。

 「えっと…その、私も星…っていうか、月、そう、月が好きなんですよ」
 「ほお、月が」
 「そうなんです!だから…その…」
 「どうした?」
 「天文部入りたいんです!」

 …って何言ってるの私。
 
 「ん?天文部か?おぉ、大歓迎だぞ!じゃあ明日入部届け書いてくれ。すぐ活動出来るはずだぞ」
 「はい!ありがとうございます!!」
 「それじゃあまた明日な!」
 「はい!気をつけて!!」

 私は、ペコリ、と頭を下げる。
 先生は手をヒラヒラ振りながら、再び歩き始めた。

 『天文部に入りたいんです!』

 先生の背中を見送りながら、私は自分の言葉を思い出す。
 いきなり何を言ったんだ、私は。
 天文部に入る?そりゃあ、星や月は本当に好きだけど…
 高校3年にもなって、今更部活に入ろうなんて思いもしなかった。
 そもそも、今まで帰宅部だったんだ。部活に入ること自体、考えたこともない。
 
 でも、今日先生と過ごして、もっと先生と話たいと想った。
 星について語る先生は、きっともっとキラキラしてるんだろうなとも想った。
 先生と一緒に過ごす時間がもっと欲しいと…想った。

 先生といると、少し、ドキドキした…。

 私、もしかしたら 一目惚れ したのかもしれない。
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