夜の街から
CDをだしてもあたしはストリートを辞めなかった。
ここはあたしの生き甲斐だったから。
ある日のライブが終わったあと、壱貴が話しかけてきた。
「何かあったのー?」
「えッ?」
「ここ最近、すごいいい雰囲気でライブやってたなーってー。」
「そうかな?」
「俺には少なくともそう見えたよぉー」
「そっか。ふふッッ!」
「何があったんだあ?」
「気になる?」
「もちろんー。」
「ンー、やっぱり秘密!」
この片想いは実らない。
そんなことは今更。
分かっていたはずなのに。
それなのに。
目の前の現実が突き付けてきた刃をかわせずもろに受けてしまった。