夜の街から
てんし。 -救世主-
誘拐
毎日、単調な日々が連なっていく。
何も解決しないまま。
俺の恋心は日増に強くなる。
抑え付けようとする気持ちとは正反対に。
ただどうしようもなくて、持て剰した。
独りになると、葵子を想ってしまう。
―――…それが怖くて、更に逃げる。
勉強、ギター、女の子達……
無心になって勉強する。
寝る間も惜しむ程。
……―――いや、寝る間も惜しんでるんじゃなくて、睡魔が襲うギリギリまで机に向かうことを辞められない。
無心になって弦を弾く。
この声が渇れそうになる程。
……―――いや、渇れそうになってるんじゃなくて、悲鳴を挙げる心が渇れることを望んで叫ばずにはいられない。