夜の街から
紅茶
カランコロンとベルがなり、温かみのあるライトが顔をだす。
「いらっしゃい。」
「コーヒー2つ。」
俺の手をひいて席に着く姿は他人からどんなふうに映るだろう。
端からみたら男同士手を繋いでるなんて、あまり見掛けるモノでは無いから。
運ばれてきた、かなり良い香りのコーヒーをブラックで飲む姿が美しい。
喉仏がなる。
なんだか色気を感じる。
「飲まないの?」
―――飲まないの?
―――いや、飲めない。
俺はコーヒーが苦手。
紅茶ならストレートでも何でも飲めるのに。
黙ってコーヒーを覗き込む。
黒い揺れる鏡に俺が写る。
せっかく連れてきてもらったのに、注文してしまったコーヒーを飲まないなんて失礼過ぎる。
だからといって飲めない。
どんなにミルクを入れても。
どんなに砂糖を入れても。