夜の街から
自棄に息が苦しい。
帯がキツいのだろうか。
いや、今更それは無いと思う。
だから多分あたしの身体は緊張してるんだ。
頭は冷静だけど。
スッと開いた襖の向こう。
スーツ姿が自棄に似合うその男。
オールバックできちんと固めた髪に崩れそうにない硬い表情。
「あッッ……」
それ以外何も出てこなかった。
目を見開いて相手を凝視しながら、必死に難く(かたく)動かない足を何とかしようとして……
そんなあたしを母さんは不思議そうに眺め、
「すみません、極度のあがり症で。」
そうフォローしながらあたしの右手をとり、彼の目の前まで引くと座らせた。
かなり、有り難かった。
放って置かれでもしたらあたしはきっと、ずっとそのままだったに違いない。
・・
母さんと彼の父親らしき人は黒く微笑みながら談笑していた。
とても上品に。
帯がキツいのだろうか。
いや、今更それは無いと思う。
だから多分あたしの身体は緊張してるんだ。
頭は冷静だけど。
スッと開いた襖の向こう。
スーツ姿が自棄に似合うその男。
オールバックできちんと固めた髪に崩れそうにない硬い表情。
「あッッ……」
それ以外何も出てこなかった。
目を見開いて相手を凝視しながら、必死に難く(かたく)動かない足を何とかしようとして……
そんなあたしを母さんは不思議そうに眺め、
「すみません、極度のあがり症で。」
そうフォローしながらあたしの右手をとり、彼の目の前まで引くと座らせた。
かなり、有り難かった。
放って置かれでもしたらあたしはきっと、ずっとそのままだったに違いない。
・・
母さんと彼の父親らしき人は黒く微笑みながら談笑していた。
とても上品に。