夜の街から
「1ヶ月ぶり、ですね。」
瞬間、呪縛が解けたと思った。
なんて奴なんだろう。
全く太刀打ち出来そうに無い。
「そうですね。いつか、お礼をしなければならないと思って居りましたので再会出来て光栄にございます。」
緩んだ表情は初めてこの瞳に映した時の事を思い出した。
あたしが微笑むと柔らかな微笑みを返してくれた。
「ちゃんと女の子に戻れたじゃん。その子には想いを伝えられた?」
「まだ。でも、確実に関係は良くなってる。……と思う。」
彼は「そっか。」と言うと立ち上がり、庭へと下り立った。
追い掛けて下りようとしたあたしに手を差し出して、それに素直に従った。
無言で造られた庭を眺めた。
その時、ふと、彼は言葉を溢した。
「あの時の気持ちは今も変わらない…」
清んだ視線が向けられる。
「初めて写真を見たときは奇跡だと思った。まさに、一目惚れって言葉が合うと思う。」