夜の街から
途中から葵子は泣き出した。
静かに。
でもだんだん激しくなって結局、タオルで顔を覆った。
それでもコクコクと頷くので話を聞いていてくれてるのが分かった。
タオルから顔を上げた彼女は
「ゴメンね。」
と一言、言ってまっすぐあたしを見つめる。
「引いたでしょ?」
と自嘲気味に笑うあたしにふるふると頭を振る。
そして
「そんな事無い!」
と声を荒げる。
「人として、好きだったんでしょう?あたしを友達と認めてくれてたんでしょう?でもそれが恋愛感情になって苦しんだんでしょう?苦しくて苦しくて、仕方無くて追い詰められてどうしようもなくて逃げたんでしょう?」
一気に捲し立てる。
「辛くて堪えられなくて逃げた事を責めるなんて、できない!気付けなかったあたしが、慶華ちゃんを追い詰めたのに!」
そう言ってまたタオルに顔を埋める。