夜の街から

「それに貴女はまだ高校生ですので直ぐに結婚、と言う訳にも参りません。他にも、蓮様にお似合いの方はたくさんいらっしゃいます。よって離れて頂きたいのです。」

鈍器で頭を殴られた気分だった。
出血多量で意識不明、重体の模様。

そこまで言われたら、もうどうしようもなくて。
でも、1ヶ月かかって認められた恋心を見捨てる訳にもいかない。
惹かれた心は恋に姿を変え、愛情に近い形になっていた。


「彼はそれで納得されてるんですか?」

「いえ、差し出がましい様ですがわたくしの判断にございます。ですが、これも全ては蓮様の為。蓮様の事をお考え頂けるなら、手をお引き下さい。」


頭が理解してくれない。

………いや、理解したくない。
そんなの認めたくない。


意識不明の重体から、死の淵まで一気に駆けてきてしまった。

その人の事を考えると、あたしは邪魔なの?

いない方が為になる?


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