夜の街から

大分、話した所で


「何があったか話してくれる?」

と言った。

話さなきゃ、とは思ってた。
けれど、結構言いづらい。

でも、せっかく蓮が元に戻してくれた仲なんだから、大事にしなきゃ、だ。
だから、少し悩んだ末に話す事にした。


「あたしの話、聞いてくれる?」

「もちろん。」

と、葵子は恥ずかしそうに笑った。



男の子になってライブしてたとき、よく、聞きに来てくれた人が居たこと。
その人のおかげで女の子に戻れたこと。
しばらくしてお見合いしたこと。
そのお見合い相手がその人だったこと。
賭けをしたこと。
その人の秘書のこと。
その人の為に、突き放したこと。


そして、好きだったこと。
突き放すのが苦しかったこと。

葵子は黙って聞いてくれた。


< 190 / 227 >

この作品をシェア

pagetop