夜の街から
大分、話した所で
「何があったか話してくれる?」
と言った。
話さなきゃ、とは思ってた。
けれど、結構言いづらい。
でも、せっかく蓮が元に戻してくれた仲なんだから、大事にしなきゃ、だ。
だから、少し悩んだ末に話す事にした。
「あたしの話、聞いてくれる?」
「もちろん。」
と、葵子は恥ずかしそうに笑った。
男の子になってライブしてたとき、よく、聞きに来てくれた人が居たこと。
その人のおかげで女の子に戻れたこと。
しばらくしてお見合いしたこと。
そのお見合い相手がその人だったこと。
賭けをしたこと。
その人の秘書のこと。
その人の為に、突き放したこと。
そして、好きだったこと。
突き放すのが苦しかったこと。
葵子は黙って聞いてくれた。