夜の街から
「理由は、話した……」
「それが本心?」
「――…ッッ」
必死に首を縦に振るあたしに手を差し伸べて来た。
そっと、頬に広がる冷たい感触。
「そんな辛そうな顔で言っても、何の効果も無いよ。嘘吐かないで?」
でもあたしはこの嘘を吐き続けなきゃいけない。
今までに有ったたくさんのチャンスを逃してきて良かったのかもしれない。
気持ちを伝えるていたら……
あの秘書が言った事を思い出す。
あの人があんなことを言うから――…
でもそれはもう関係無い。
あたしは自分で決めたのだから。
そう思って秘書の言葉を振り払おうと首を横に振る。