夜の街から
席に着いてから、上座に座る父さんに向き合った。
「あのね、あたし―――…」
少し、心配になる。
普段あまり話をしない所為か受け入れてもらえるのかわからない。
少し籠った言葉に続いたのは、あたしの声じゃ無かった。
「お父さん、僕は慶華さんが好きです。初めて目にした時からずっと。交際を許して頂けないでしょうか?本当はもっと改めて言わねばならないのですが…」
その人に向けていた視線を父さんに戻す。
「なんとなく、気付いていたよ。ここに来ているって事は慶華が認めたんだって事を。」
父さんは優しくあたしを見詰める。
「蓮くんが、好きなんだろう?」
頷いたあたしの頭に手をのせて撫でてくれる。