夜の街から
「私は、慶華にお見合いをさせた事を後悔していた。どれかは確実に結婚に発展するだろうから。」
哀しい色が父さんの瞳に浮かぶ。
「慶華自身が撰んだ男、と結婚させたかった。でも、私たちが引き取ってしまった時点でそれはかなり無理がある。だからと言ってこんなに早くお見合いをさせるなんて思ってなかったから、無理をさせてしまって申し訳無いと思っていた。」
初めて、父さんと向き合った気がした。
「相手に押されて、慶華に我慢させてしまうと思うと辛かった。きっと慶華は頷いてしまうと思っていたからな。聞き分けが良い分。でも、ちゃんと向き合って決めたって今は分かったから本当に良かったと思う。」
気付くと哀しみは消えて、温かな色が瞳を占めていた。
優しく微笑んでくれるのが嬉しくなってあたしも微笑み返す。
「思ったように、行動すればいい。応援するから。」
すると、悪戯な笑みを浮かべて、
「交際なんて言ってるが、もう、結婚もしっかり視野には入ってるんだろう?」