夜の街から

推薦で大学も決まっていたあたしは入学してから、生まれる少し前に休学するって決めた。


……っていうか決めていた。

欲しかった。
その人との子供が。
そうすればその人との関係が未来永劫消える事は無くなるから。

子供を道具に考えてる訳じゃ無かったけれども、“証”が欲しかった。
消えたり、無くしたり、失ったりしない“証”が。


だから、時々生で挿れる事を望んだ。


あたしが望めばどんな事でも簡単に叶えてくれる。
余りにも簡単にこなして仕舞うからちょっと恐ろしくなって我が儘言うのは本当に欲しくて堪らない時だけにしようって決めてた。


念願叶って授かった赤ちゃんに両親は素直に喜んではくれなかった。
多分、あたしの将来の事を深く考えての事。

だから、生むことを反対しなかったことに感謝した。


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